〜ナガスネヒコの御靈との対話〜
私: 登美能那賀須泥毘古(とみのながすねびこ)の御靈と御繋ぎ下さい。
お繋ぎ下さり感謝申し上げます。
御靈に過去の真相をお教え下さいようお願いします。
単刀直入に伺いますが、あなたは悪者だったのですか?
靈: いいや。計られた。
わしは自分たちが天孫の子孫であると伝えられてきた。
それ故に悪しき者らを成敗致していた。
私: 天孫とは何ですか?
靈: わしらの先祖は、この国の型を造られ、我らに与えたのだ。
私: 先祖は、何処から来られたのですか?
靈: それは遠い地であると聞いた。
わしらも行ったことのない。
海の遥かなたである。
私: 高天原とは、その遠い場所を意味しますか?
靈: その通り。タカーマガハーラである。
私: それが正しい呼び方なのですか?
靈: その通り。我らは口述により代々伝えられてきたのだ。
それ故に間違えることはない。
幼少の頃より何度も聞かされてきたのだ。
私: 分かりました。
タカーマガハーラは、
海の遥かなたにある遠い場所であり、
祖先はそこから倭に入られたのですね。
靈: その経緯は直接ではなく、
幾つもの棲み家を変えて、
ようやく辿り着いたと聞いた。
私: 分かりました。
あなた方はその地に長年暮らして来られた人たちなのですね。
靈: わしはここで生まれ育ち、
主としてまとめてきたのだ。
祖先から伝わる秘宝を守り、
みなをまとめてきた。
それは間違ってはいない。
代々そうしてきたのだ。
周囲のものたちの意見も聞き、
良きようにまとめてきた。
私: では、みなで仲良く政をなされていたのですね。
靈: その通り。
だが、遠方より次々と客人が来るようになり、
住み着き縁を重ねてゆくごとに、
良からぬ噂を耳にするようになった。
私: それはどのような噂でしょうか?
靈: わしを偽者あり、
良からぬ政をしておると言って暗殺を企てている者らがいると聞いた。
私: それはだれから聞かれたのですか?
靈: 異国からの使者たちである。
各地を廻って歩き、
そのような噂を幾度も耳にしたと。
私: それはその方達の嘘だったのではありませんか?
あなた方を仲違いさせて、
自分たちに都合のいいようにする企みであったと察しますが、
どうですか?
靈: そうだ。その通りだった。
それは後で分かったこと。
しかし、戦をし過ぎたゆえ責任を取らねば、
周囲にも示しが付かなくなったのだ。
私: 戦相手のことは、何と呼ばれていましたか?
靈: タケオミである。
私: タケオミとは、どのような方であると感じられましたか?
靈: 気さくな人間であり、
横暴さを感じなかった。
誰かの指示で動いているのであろうと察した。
私: それは、侵略してきたという風には感じなかったということですか?
靈: そうだ。だが、疑いの気持ちが高ぶっていたゆえに、
向こうからの話し合いに応じられなかった。
騙し討ちを警戒していたからだ。
私: それも誰かに言われたのではないですか?
靈: その通り。異国の使者たちは、
用心するように何度も助言されたゆえ、
謀として受け付けなかったのだ。
私: そうでしたか。
やはり、仲違いさせ両者共倒れを狙って、
異国の者たちにまんまと計られたのです。
それは、大陸の者たちの戦術の一つであり、
善の仮面を被り忍び込み、
内部を探りながら敵味方を把握した上で、
双方に悪しき噂を流して組織を混乱させ、
両者に対して戦を煽るといった魔物の考え方なのです。
靈: そうであろう。我々はそのような非道なる戦は全く好まなかった。
しかし、そのようなことを見極めることが出来なかったことも、
また事実であり、その責任は取らねば治らんものであった。
私: それで、戦を止めることにしたのですね。
靈: そうだ。わしはすべての責任取ると宣言いたし、
タケオミに国を譲ったのだ。
私: あなたはその後どうなされたのですか?
靈: 弟と家族。ごく一部の家臣らと共にツガルへ渡ることにした。
私: ツガル?北へと船で向かわれたのですか?
靈: そうである。
私: では、北の地で新たに国造りをなさられたのですか?
靈: わしは途中で戦傷が患い死んだ。
私: どの辺で亡くなったのですか?
靈: 船に乗る前である。
私: 船はどこから乗られる予定だったのですか?
靈: タンゴからである。
私: そうでしたか…。あなたはタンゴに葬られたのですね。
そして、他の方々はタンゴからツガルへ行かれたのですね。
靈: そうである。わしはタンゴに葬られ、
カミとして祀られておる。
私: 今もタンゴの神社にて祀られているのですね。
分かりました。そのうち伺わせて頂きます。
靈: わしは賊として、国を開け渡し、
タンゴで果て、情けによりカミとして祀られた。
国の主たるもの、見誤るとそのように陥れられ、
全て失うという良き教えである。
隙があったゆえつけ込まれ、
よく確かめなかったゆえ、
まんまと操られた。
主として失格であったのだ。
それゆえすべて譲ったのだ。
負けたからではなく、
己の不手際に対して責任を取らねば、
みなに示しが付かなったためである。
祖先に対する謝罪も込め、
一族の汚名を返上したく願い出たこと。
私: 分かりました。
しかし、歴史では、どこにもそのようには書かれていません。
残念ながら、ナガスネヒコは悪党として成敗されたことになっています。
靈: そうであろう。そのことはすでに知っている。
わしを貶めた者たちもみなそれぞれ知っておる。
そのツケは、もう果たさせてもらった。
悪しき者たちを成敗せねば、良くならん。
それはいつの世も同じこと。
私:ツガルには、御魂として行かれましたか?
靈:わしは常に案じていた。
それゆえついて行き、智恵を授けておった。
私:その子孫たちは、大きな国を造り、
倭と戦をするようになりましたが、
お分かりでしたか?
靈: すべて分かっている。
わしの思いも反映されているからだ。
陥れた者たちを成敗するために、
長年掛けて戦をいたした。
だがまた結局は、
騙し討ちに合う因果であった。
私: もしやそれは、アテルイと繋がりますか?
靈: わしの子孫でもある。
私: そうなのですね。分かりました。
歴史は繰り返されていた訳ですね。
見極めることの大切さ。
腹に落とし込みました。
靈: わしの思い、聞いてくれてありがたい。
よくここまで聞いて下さった。
礼を申す。
私: こちらこそ、お話下さりありがとうございました。
多くを知ることが出来ました。
歴史が変わると思います。
紐解かれたことがございます。
一番の要となる部分が分かりました。
靈: そうであるか。
わしが悪者であるかどうか?
知ることが歴史を変えるのだな?
私: はい。あなたは騙されたに過ぎません。
相手も騙されて戦をするに至ったのです。
戦をさせた異国の者たちによる企みが元であり、
今も昔もこの国は異国の者に騙され続けているのです。
それは、御魂の資質の違いであり、
思想の違いがはっきりと分かりました。
これから、良き国となるようわたしも出来ることをいたして参ります。
今後共どうぞ宜しくお願いいたします。
靈: そうであるか。わしも礼を申す。また話をいたそう。
私: ありがとうございます。
御縁に感謝申し上げます。
わたしは、今生の本名が「タケヒト」と申します。
これも正に因果なものであります。
靈: …。そうでありましたか。やはり…。
切に感謝申し上げます。
私: 良き国造りを致したいものです。
2020.6.23 神人 拝
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